2.労働基準監督署へ

インターネットで調べると、

「労働基準監督署は動いてくれない」

「たいして相談にのってくれない」「彼らは何もできないから、訴訟を起こすことを勧められた」等々の記載も見られます。

 

彼女も、そういった記事を読んでいたので、いきなり裁判を起こすことも考えていたようですが、やはりまずは労働基準監督署へ行くことを勧めました。

 

過去の給料明細、入っていた日時を記載したカードなどから不払いになっている金額や時給を割り出し、簡単な経緯を書いたものを準備し、お店の場所を管轄する監督署へ向かいました。


※ちなみに相談に行くべき労働基準監督署は「お店の場所」を管轄する監督署です。経営する会社(法人)の本店所在地の監督署ではありません。

※原則予約は不要です。

 

労働基準監督署ではきちんと話を聞いてくれ、持っていった資料、経営者が法人であること、経営していた会社が既にない(内容証明が宛名不明で戻ってきている)等を踏まえ、会社(法人)が倒産していると認定されれば「未払い賃金の立替払制度」(※事実上の倒産の認定→退職後6ヶ月以内に申請が必要)が適用される可能性があるという話をいただき、彼女は一緒に働いていた友人一人と一緒に申請することに決めました。

この「退職後6ケ月まで」という期限までに1月を切っていたので急いで申請手続きを行うことになりました。 


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それから二人は何度か労働基準監督署に足を運び、担当官と数回やりとりを続けました。
頑張って様々な書類を何枚も書いたとも聞きました。

担当官の方も、実際に店に足を運び店がないことや、登記簿にあった法人の所在地の雑居ビルにその法人が見当たらないということなど調査をされました。


その結果、半年後無事認定が降り、二人とも失った給料よりは少なくなりましたが、彼女たちの年代(20代)で規定されている上限額(88万円)を受け取ることになりました。(もちろんここから税金はひかれていましたが)
二人ともとても喜んでいました。

その報告を受けたとき私も本当に嬉しかったことを覚えています。本当によく頑張ったと思います。

 

この「未払い賃金の立替払制度」というのは、字のごとく立替制度です。
国は倒産した会社(今回の場合は彼女たちが働いていたお店を経営している会社)に代わって未払いの給料を立て替えるので、後で本来の支払義務者へ請求することになっています。

※あくまで「会社(法人)」が経営しているお店が対象です。個人が経営しているお店は対象外です。

 

実際、このときの労働基準監督署(関東)は店長の転居先の監督署(九州)に連絡して店長本人に連絡をとったと聞きました。(その後どうなったかは分かりません)


この逃げた元店長(=雇われ社長)には、先に内容証明のコピーを簡易書留で送付しておいたので、実際監督署から連絡が行ったことで、本人に彼女たちの本気度は十分伝わったと思います。

結果的に、未払い給料の全額を取り戻せたわけではありません。
88万円を受け取りましたが、彼女達の未払い給料はその倍以上の金額でした。

しかし、その差額を取り戻すことを二人は望みませんでした。


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諦めず労働基準監督署に誠実に自分たちの働いていた事実を伝えたことによって、少なからず彼女たちは救済を受けました。
諦めて行動していなかったら1円にもならなかったのです。

 

裁判を起こしていたら、まだ終わっていないかもしれません。
裁判に必要なお金ももっと掛かっていたでしょう。弁護士さんにお願いすればその費用もかかります。

やっと裁判が終わって勝訴しても(相手が裁判に出てこない可能性が高いので勝訴になるでしょう)、その店長(社長)に払える財力がなければ支払ってもらうのは難しいでしょう。
勝訴を元に、差し押さえして競売にかけるにしてもその手続きは煩雑で費用も掛かります。

早い内に納得がいく形で終われたことは、若い二人にとって次のステップに進むいい足がかりになったと思います。

諦める前に、できることはないか。
全ての事例にあてはまるとは言いませんが、お店(法人が経営)がつぶれている場合は特に上記の事例を一つの参考にしてもらえればと思います。

 

他に、相手と連絡がとりあえる段階であれば「個別労働紛争のあっせん」という制度もあります。
これも労働基準監督署で相談にのってくれますので、その方法や手続きについて聞いてみるのもいいと思います。(ただ、相手があっせんの場に出てこない可能性は高いかもしれません。)

 

裁判を考える方もいるかと思います。まず公的な機関の法テラスに相談してみるのも一つです。
法テラスでは一定の条件にあえば無料相談もしてくれます。また、相談無料、成功報酬の方法を行っている弁護士さんもいらっしゃるようなので探してみるのもいいかもしれません。

 

次のページでは、給料未払いになったとき、1回でも支払いが遅延になったときに備えてチェックしておくべきことをアドバイスとして書いておきます。


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